みなし再入国許可と再入国許可との比較

皆さまご承知のとおりによって「みなし再入国許可」(平成21年度の入管法改正)が始まっています。よって、皆さまにあっては、一時的に日本から出国する際し、再入国出国カード(EDカード)の「□1.一時的な出国であり、再入国する予定です。」という欄にチェックを入れて出国されることが多いのではないでしょうか。

 

簡単なEDカードのチェックですが、みなし再入国許可を得るには次の手続き・要件が求められています。

①本邦(日本)に在留資格(ビザ)をもって在留する外国人で、

②有効な旅券(パスポート)を所持する方(中長期在留者であれば在留カードを所持する方に限る)が、

③出国する際に、入国審査官に対して、再び入国する意図があることを告げて出国する場合には、

再入国の許可を受けたものとみなすとされています。

 <ご参考>みなし再入国許可制度の対象とならない者

1.在留資格取消中の者(例.結婚の実態がないのに、正当な理由が無く、6ヵ月以上配偶者ビザ・結婚ビザで在留していること)

2.出国確認留保中で入国審査官が通知を受けている者(例.長期3年以上の懲役にあたる罪を犯した疑いにより逮捕状が出されている者)

3.収容令書が出されている者

4.特定活動ビザが与えられ難民認定申請だけの活動が指定されている者

5.みなし再入国許可ではなく、再入国許可を取得すべきことに理由があると法務大臣が認める者

みなし再入国許可が認められると、再入国できる期間は出国した日から1年 (その方の在留期間が1年に満たない場合は、在留期間の満了の日まで)となります。なお、みなし再入国許可を得るのに手数料はかかりません。

注)特別永住者は特例によりみなし再入国できる期間は出国した日から2年 です。

しかしながら、ここで皆さまにご注意いただきたいのは、みなし再入国許可では、出国中の再入国許可の有効期間の延長は一切できないということです。ご自身にとってやむを得ない事情(例.病気で入院していた等)があっても、在外公館(海外にある日本の大使館や領事館)で、再入国許可の有効期間の延長は一切できないのです。

このようにみなし再入国制度は、在留する外国人が短期間に出入国するための手続きを簡単に(簡略化)した制度ですから、もしかしたら日本に戻るのが1年を超えてしまうとの事情がある(その恐れがある)場合、現在持っている在留資格(ビザ)の有効期間が既に1年に満たない場合(資格変更申請等の特例を活用。後述します)など、可能な限りリスクを避けたいという思いがあるのであれば、「みなし再入国許可」ではなく、許可時に手数料がかかりますが出国前に住居地を管轄する地方入管管理局・支局・出張所で「再入国許可」(後述します)を取得しておくことを強くお勧めいたします。

注)再入国許可申請は原則本人申請ですが、本人が病気等の場合、親族等が本人を代理して申請することが可能です。また、お忙しい方や面倒と思う方は行政書士等が代わって申請を取次ぐことも可能です。

一方で、再入国許可は旅券に証印を行い、その有効期間は最長5年その方の在留期間を超えての再入国期間は与えられない)となります。

 

注)旅券のない方には冊子型の再入国許可書が発給されます。

注)特別永住者は特例により再入国できる期間は最長6年です。

先に「みなし再入国許可」は有効期間の延長は一切できないとの説明を申し上げましたが、「再入国許可」では延長ができます。ただし、許可を受けた有効期間内に再入国することができない相当の理由(やむを得ない事由)が認められる場合に限られます。

再入国許可

注)相当の理由(やむを得ない事由)とは・・

例1.病気や怪我で旅行が困難となった。

例2.期間内に再入国できる運送手段がない。

例3.留学しているが学年途中で学業継続している。etc

期間延長の回数に制限はないのですが、1回の延長は1年を超えず、かつ、再入国の許可の効力が生じた日から6年を超えない範囲 で延長の許可を受けることができます。(ただし、在留期間の延長はありませんので、出国前の在留資格の期限を越えての期間延長はできません)

注)特別永住者は特例により、延長は1年を超えず、かつ、再入国の効力が生じた日から7年を超えない範囲 内で延長の許可を受けることが可能です。

最後に「再入国許可」には、在留資格変更許可申請・在留資格期間更新許可申請がなされている場合にも特例が認められています。

 

先に説明したとおり、再入国許可の期間延長にはそもそも在留資格の期限を越えての期間延長はないのが原則ですが、在留資格変更許可申請・在留資格期間更新許可申請がなされている場合、在留期間を超えて特例期間までは延長することが可能 となります。

 

ちなみに特例期間とは、在留期間が経過してから許可・不許可の結果が出る日又は在留期間の満了日から2ヵ月を経過する日のいずれか早い日までの期間をいいます。

 

つまりは、再入国許可の期限が、資格変更又は資格期間の更新がなされる以前の在留資格の期限を越えて延長されるという特例処置がなさえることになります。(ただし、法務大臣の裁量による)

 

以上のように「みなし再入国許可」、「再入国許可」にはそれぞれメリットとデメリットがあるので上手に賢く使い分けて利用するようにしてください。

■みなし再入国と再入国許可のメリット・デメリット

    みなし再入国許可 再入国許可
申請

 不要

(EDカードのチェック)

必要
手 数 料 無料

シングル 3,000円

マルチ  6,000円

有効期間 1年 最長5年
期間の延長 不可

可能

(やむを得ない事由)

資格変更等の特例 適用なし

適用あり
(在留期間が経過してから審査結果が出る日

又は在留期間満了から2か月を経過する日

のいずれかが早い日まで延長可能)

■在留カードを所持する方と特別永住者の違い

    在留カードを所持する方 特別永住者

みなし再入国許可の

有効期間

 1年

2年

再入国許可の

有効期間

最長5年

最長6年

期間の延長

延長は1年を超えず、

かつ、

再入国の効力の生じた日から

6年を超えない範囲

延長は1年を超えず、

かつ、

再入国の効力の生じた日から

7年を超えない範囲

特別永住者・・終戦前から日本に在留する者及びその子孫(在日韓国・朝鮮人及び在日台湾人)をいいます。特別永住者には在留カードではなく「特別永住者証明書」が交付されます。