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外国人が日本で会社設立(起業)する場合に注意すること

日本人であれ外国人であれ、起業する場合、簡単な流れとして設立会社の種類(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社)の決定、会社の根本原則である定款の作成・認証、および設立登記を行う必要があります。これらに関する資料を整えて法務局に提出すれば会社は成立します。つまり、法人格が与えられ、取引の主体として活動ができるようになります。

 

しかし、外国人の場合、これだけでは済みません。上記手続きにプラスして、ビザ(在留資格)が必要です。日本人が会社設立する場合には、会社法に定められた法人を設立し、諸法令を遵守すれば足りますが、外国人が会社設立する場合にはこれに加えていわゆる入管法の遵守(ビザの取得等)が必要となります。

 

たとえ、どんなにビジネスで成功したとしても、合法的に在留できるビザを取得できなければ、日本から出国しなければなりません。事業開始後、合法的に在留できないのであれば、事業の譲渡や廃業を選択することになります。

 

このような意味において、外国人は日本人と比べると、日本で会社を設立し維持・発展させていくことはより難しいことになります。

 

以上ことから、外国人が日本で会社設立等ビジネスを展開する場合には、ビザの取得等を含めたビジネスプランを検討しなければなりません。

 外国人にとって厳しいのが、入管のビザ審査の際には、事前に経営・管理ビザの要件を満たしておく必要があるということです。原則として、ビジネスが実際にスタートする、もしくはそれが明確に立証できる状況にならないと審査の対象となりません。経営・管理ビザが取得できるかどうか不明確な状況で会社を設立し、法人として各種の契約締結等進める必要があります。

 

たとえば、飲食店でいえば、将来が不明確な状況で内装工事等を行ったうえで店舗を構え、調理人を確保し、結果数百万円以上の資金が必要となります。

 

一般的には、この状況で初めて入管の審査の対象となりますから、ビザ申請の結果、万一不許可となった場合には、文字どおり数百万円の負債(損失)を抱えることになるのです。

 

また、当然のことですが、ビザには更新(在留期間5年・3年・1年・4月・3月)が必要です。与えられた在留期間が満了する度(満了日の3ヵ月前)に、経営・管理ビザの許可基準を満たした上更新が必要であり、「事業の安定性・継続性」に代表される許可基準を満たすことができなければ更新は不許可となり、残念ながら日本から出国せざるを得ないことになります。

 

このように、外国人が日本で会社設立しビジネスを維持・発展させていくことは、ビザ(在留資格)と一体であり、ビザを無視してビジネスの成功はあり得ないことになります。

経営・管理ビザ

日本で外国人がビジネスを開始するにあたって、当該外国人が現在どのようなビザを与えられ在留しているのか、それとも未だ来日しておらず会社設立を終えたばかりでこれから来日するのか、それぞれの手続きは異なってきます

 

変更申請の例では、すでに留学ビザで在留している方が大学を卒業する前に会社設立手続きを終えて経営・管理ビザの変更申請を行う場合がありますし、日本人の配偶者ビザいわゆる身分系のビザを付与された方が日本での事業を展開するにあたり、あえて経営・管理ビザに変更する場合もあります。(在留資格を変更することでどのようなメリット・デメリットがあるかを事前に確認し、個々の事情により必要とする手続きが異なってきます)

 

一方で認定申請(海外からの呼び寄せ)は、(例はここで省略しますが)変更申請に比べると一般的に手間も時間も負担がより大きなものとなります。

 

それぞれの外国人が、将来をどのように思い描いているかによって、プランは異なってきます。会社設立等の決断をする前に、入国管理局等にも相談し、入管法の概要つまり在留資格制度をよく調べ理解したうえで、手続きを踏むことをお勧めいたします。